知るUCHU wagashi vol.3

ー前回ではUCHUwagashiというアイディアがカタチになるまでをお伝えしました。展示会を終えてからの動きを教えてください。

<第3回>UCHUwagashiのお店作り

木本:工場をもちたくて物件を探していました。食品を扱うには床がコンクリートである必要があって、条件に合う物件をさがしていたら土間がある古い町屋に辿り着きました。

ー和菓子やさんだから町屋限定で探したのだと思っていました。

木本:いろんな条件の結果、町屋にたどり着いたのが本当のところです。結果的に町屋はイメージにピッタリだったと思います。ボロボロだったので改修して、はじめは週末だけ入り口付近で商品を販売していました。

ーやがて店舗という形になりますね。

木本:京都の西陣というアクセスの良いとは言えない場所に、わざわざ来てくださる方が増えたので、だったらちゃんとした空間を作ってお迎えしようと思いました。


ー初めてつくった西陣店のコンセプトは?

木本:狭いスペースだとしても魅力的な滞在時間にすることです。来られた方が、買ってすぐ帰るではなくて、どうやって楽しんでもらえるかを考えました。

ー入店するとスロープがあり、雰囲気を感じながらショーケースへとたどり着くような空間になっていましたね。


木本:体感してもらうことも商品の一部だと考えました。お買い物後もスロープを引き返されるわけですが、その時間も余韻を楽しんで欲しくて。空間全部が自分の表現だと考えると、庭の木の剪定も毎日したくなるし、床もチリひとつないくらい磨き上げていました。お客さんが「土足でいいんですか?」と聞いてしまうくらい。

ー自分の分身みたいなものですもんね。お店に対する愛を感じます。

木本:そうですね、愛着もありますがそういうブランディングでしたので。

ーチリひとつない京町屋に鎮座するのがポップな落雁、というギャップがまさにUCHUwagashiというブランドを表していますね。そんな西陣店を閉められたのはどうしてですか?


木本:孤高の職人が不便な場所で店を出している、、みたいなイメージがつくのは嫌だなと思って。もっと気軽に寄れるような場所にしたかったんです。西陣店の空間はとても気に入っていて閉めるのは心苦しかったけれど、ブランドとしてはアクセスのしやすいところに移動する方が正解だと思いました。

ー寺町店も凛とした空間ですね。

木本:無駄なものがない、茶室をイメージしています。

ー奥の庭も素敵です。

木本:庭は自分でつくりました。家具も全て信頼する方にオリジナルで作ってもらっています。

ー喫茶スペースのテーブルの脚も特徴的ですね。

木本:茶室の床の間の木に使われる椿の木で作ってもらいました。

ー空間全体でUCHUwagashiを体感できるのは今は寺町店だけです。散策するのが楽しい場所にあるのも魅力ですね。

木本:京都御苑の木々を眺めながら、ゆっくりしていただける喫茶コーナーを設けました。美味しいお茶と、UCHUwagashiのお菓子を楽しむことができます。お近くにお立ち寄りの際はぜひいらしてください。


ー3回にわたり、UCHUwagashiが誕生して走り出すストーリーをお伝えしました。

ポップなカタチやパッケージにときめいて、食べると口どけ良く、雑味がなく美味しい。

UCHUwagashiのお菓子をきっかけにお茶などの伝統的な世界にも興味が広がりますね。

木本:はい、まだまだ新しい和菓子屋ではあるけれど、伝統的な世界には敬意をもっています。UCHUwagashiがそこへの入り口となれば嬉しいです。

ー今後の展望などはありますか

木本:デザイナーとしての挑戦は、変わらない価値のものを作っていきたいといつも思っています。マリメッコのウニコのように普遍的でいつ見ても新鮮に感じるようなものを作っていきたい。それは盆栽のように常に大事に手入れをすることなのではと思います。100年後も新鮮なブランドでありたい。それが僕とUCHU wagashiの目標です。


ー個性豊かなお菓子がうまれる背景にはいろんなストーリーがありました。UCHUwagashiはこれからもワクワクを提案していきます。

いろんなシーンで使える商品を揃えています。ご来店の叶わない方も、贈り物に、ご自身でのお楽しみに、オンラインショップにてその世界観をぜひお楽しみください。


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